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発行者からのご挨拶

 この画集は、太平洋戦争のフィリピン戦線に一兵士として従軍した画家(増田博一氏)が、復員直後に描いた125枚の水彩画をまとめたものです。体験した悲惨な敗戦の実相を、画家の目でカメラよりも正確にそして克明に記録しています。さらに当時の兵の心理や戦場での人間関係、そして軍が崩壊して行く過程での心の葛藤にいたるまでを簡潔な文章で記入してあり、絵と文が補い合う「戦記書画」となっています。
 貴重な戦争記録として、もっと早く世に出るべき資料だと思うのですが、諸般の事情で、広く知られる機会がないまま今日に至りました。しかし、日本の進路についての議論が混乱しているかに見える昨今、若い世代を含む未来の日本のために、この記憶を埋没させてはならないとの決意を新たにして、このたび出版にこぎつけた次第です。
 畑ちがいの小出版社からの出版でもあり、採算ベースに乗ることは期待していませんが、この画集が一人でも多くの方の目に触れ、記憶に残ってくれることを切に願っています。



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